アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、乳児から大人まで幅広い年齢層にみられる皮膚の症状です。主に、かゆみのある湿疹が、顔、肘や膝(特に肘や膝の内側)などにできます。早ければ生後2か月~3か月ごろから症状がみられる場合もあります。アトピー性皮膚炎は治りにくく、長期間続く場合があり根気強く治療して行くことが必要な病気です。
アトピー性皮膚炎の特徴
- かゆみのある湿疹が出る
- 症状が改善したり、悪化したりという状態を繰り返す
- 特徴的な湿疹になる(赤みがある・しこりがある・盛り上がりがある・水分が多い)
- できやすい部位がある(顔・ひじ・ひざ・首回り・脇など)
- アトピー素因を持っている
5.にあげられるアトピー素因とは、以下の2つが日本皮膚科学会で定義されています。
●家族、または本人が以下の4つのいずれかの疾患、あるいは複数の疾患を有している
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性結膜炎
- アトピー性皮膚炎
●IgE抗体(アレルギーと深い関係を有している免疫物質)を体質上、作りやすい。
(日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎の定義、診断基準」より)
主な症状・症状が出る部位
- かゆみがある
- 赤みのある湿疹
- 盛り上がりのある湿疹
- 水分の多い湿疹
- しこりのような湿疹
- かゆみから掻くことを繰り返し、その影響で皮膚が分厚くなりやすく、そこがかさぶたになることもある
湿疹ができやすい部位は次のような場所です。
(個人差があります)
注意点
アトピー性皮膚炎は、乳幼児の頃に発症しやすいと言われています。大人になるにつれて症状は改善し、治癒していくことが多いです。ただし、成人しても症状が続くこともあり、一度治っても再発することもあります。特に再発した場合は治りにくいと言われています。
また、アトピー性皮膚炎は、「かゆみ」があるため、以下の図のように、「かゆい」と感じる→かゆい部位を「かき壊してしまう」→掻き続けることで「炎症が悪化し、範囲が拡がる」という悪循環を繰り返してしまいます。
更に、年齢によって出やすい部位も変化すると言われています。
- 2歳未満の乳児期:頭や顔
- 2~6歳の幼児期:体から下肢にかけて
- 思春期から青年期:顔や胸・肘・背中など上半身
年齢によって症状がかわるため、そのたびにしっかりと症状にあった治療を行うことが大切です。特に関節部分の湿疹については皮膚の乾燥を起しやすくなります。
かゆみは集中力を妨げ、日常生活のパフォーマンスを下げる要因になりかねません。
少しでも症状を和らげられるよう早めに皮膚科にかかり、治療していきましょう。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の原因となる要因は、大きく分けて2つあります。
体質要因
- アトピー素因がある
- 外からの刺激や雑菌などを体内に取り込まないようにする皮膚のバリア機能の低下
環境要因
- アレルギー症状の原因となる物質(アレルゲン)がある
- 花粉・ハウスダスト・ダニ・ほこり・カビ・犬やネコなどペットの毛やフケ・食品(卵・小麦など)
- アレルゲン以外の外部からの刺激
- 汗、皮膚が乾燥すること、衣類や身につけているものによるこすれ、ひっかき傷、洗剤などの日用品、化粧品
- 寝不足
- ストレス
- 不規則な生活
- 過労
治療方法
アトピー性皮膚炎の治療方法としては、以下の2つが主になります。
1.薬を使用する治療方法
塗り薬(外用薬) | 皮膚の炎症を抑えるためにステロイド外用薬を塗布します。また、過剰になっている免疫反応を抑えるために、免疫抑制外用薬を使用する場合もあります。 |
---|---|
飲み薬(内服薬) |
かゆみの症状をまずは抑え、これ以上悪化させないために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー反応を抑える抗アレルギー薬を内服します。 症状が重い場合や、それまで行った治療法でなかなか効果が見られない場合、免疫抑制薬の飲み薬を内服するケースもあります。 |
保湿剤 | 皮膚が乾燥することを防ぎ、バリア機能を保つために使います。 |
2.スキンケア
- 乾燥を防ぐ
- 細菌の繁殖を抑える(汗をなるべくかかないように注意する)
- 紫外線・日焼け防止
- 衣類に使用されている繊維や肌への刺激に注意する
- 皮膚をかかないよう工夫をする